SHF用通過型電力計の製作(2002.12.12, 2003.1.4, 1.12)

2002年6月やっと5GHz帯のシステムが完成し、そこそこQSOすることが出来ましたが、その後時間の経過のせいか、送受信のバランスが悪く、聞こえているけれども届かないことが多くなっているということが分かりました。

8月にYAMA-MLで5GHzシステムの改善について意見を頂いたところ、まずは、どこでどのくらいの送信電力が来ているかを調べてみたら改善するポイントがはっきりするのではと言うことで、調査を開始することにしました。

とは言っても、ルーフタワーの上で電力を測定する道具が無いので、それを作ることから始めることになってしまいました。

ジャンク箱から、出所不明ですが、ちょうど良さそうな基板がケース付で出てきました。元々は、2.4GHz帯用のようです。これをうまく改造して、2.4GHz、5.7GHz、10.2GHzで使えるようにしようと考えました。検波出力が貫通コンで出てくるので、この電圧をデジタルテスターで測定すれば良さそうです。ケースの外形は50×50×30mmで、ミーリングで内部は40×40×25mmに削り込んであります。基板はPPOの様で、外形寸法はコネクタの部分を除いて35×35mmでした。

最初に方向性結合器のところがフィルタになっているのを削って、ストリップラインに色々なスタブを付けてそれぞれのバンドで、VSWRと通過損失がどれも落ちるようにしました。10GHzは余り良くありませんが、ほどほど納得する性能がでてきました。

今度は、検波感度ですが、ダイオード(型名不詳だが、0のマーキング付)の先についているスタブのせいで、かなりの周波数特性を持っています。これも、このスタブを切ったり伸ばしたりしてみて、3つのバンドでほどほど使えるようなところを探しました。その結果、何故か周波数が低いほど検波効率が低いのですが、全てのバンドで20mW以上の電力測定ができるようになりました。性能の概要は以下のとおりです。

     VSWR  通過損失 20mW時の電圧 400mW時の電圧
2.43GHz 1.3    0.8dB      0.01V      1.3V
5.76GHz 1.6    1.5dB      0.05V      1.5V
10.2GHz 1.7    3.0dB      0.17V      2.2V

入力電力を変えたときのカーブはかなり曲がっているので、直読とは行きませんが何とか通過型電力計になりそうです。ダイオードの予備があれば壊れるくらいまで入れてみて特性を取るところですが、型名も分からず、耐圧も分かっていないので、うまくいったこの辺で止めておきます。普段使うときは、入力側にアッテネータを入れて、0.5Wから最大でも1W程度に抑えて測定することにします。

入力電力対出力電力のカーブは次の通りです。グラフにすると想像以上に曲がっていました。周波数による感度差もありますが、このグラフを手元において換算することが出来るので、何とかなりそうです。

左のコネクタが入力側で、右のコネクタが出力側です。出力側のコネクタには、測定のために付けたターミネータを外さずに写真撮影をしてしまいました。
ストリップラインの上下につけているスタブは、これといったルール無く色々付けてバランスの良いところを探した結果です。これといった手法を持っていないので、専門家に見られると笑われそうです。
検波ダイオードの後のスタブを調整中、勢い余ってDCラインまで切ってしまいました。仕方ないので、抵抗のリードでつなぎました。もう少し細い線でもきれいにはんだ付け出来る様になりたいものです。

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