UTV-10G Kitの改造

2002年5月UTV-10G Kitにパワーアンプを実装して完成品にしましたので、その様子を示します。

 

左上は完成したパワーアンプユニットの写真です。(撮影のためシールドカバーを外しています)
使用したのは14GHz用1.5WクラスのMMICです。帯域が下の方まで伸びていたので、10.24GHzでも使用できました。この周波数でのこのMMICの性能は、以下の通りです。

  利得=21.5dB (小信号入力時)
  P1dB=27dBm (0.5W)
  Psat=29dBm (0.8W)
  電源=5V、600mA (単電源)

本来の使用周波数では、利得が30dB近くあって出力も1.5Wを超える様ですが、ミスマッチなのは仕方ないですね。今回は特にスタブなども付けていませんし、電源電圧も上げていませんが、少し工夫すれば、1Wを超えるのは間違い無いと思います。

右上はパワーアンプ部周辺の写真です。
同軸リレーはDow-Keyの物を使用しています。Loss=0.5dBと思ったよりも多かったです。同軸リレーの右側は、78M05と2SB754を使用したドロップ型の安定化電源です。使用したMMIC自体は非常に高能率なのですが、電源に何も工夫をしなかったために、送信状態にすると放熱を兼ねているt=1.5mmのアルミニウムの中板がチンチンになってしまいます。

送信部のトータル性能は上のグラフのようなカーブとなりました。このグラフには同軸リレーのロスも含まれています。IFである1296MHzの入力電力は20dBm (100mW) あれば十分であることが分かりました。
リニア領域の測定範囲が狭いのですが、かなりリニアな事が分かります。これなら、SSBでも使用できると思いますが、キャリアコントロールだけでは送受がすぐに切り替わってしまいますので、強制スタンバイ回路の配線が必要でしょう。

上の写真はワンボードの改造の様子を写真に撮ったものです。
主な改造点は以下の通りです。

  1. 受信側初段アンプをNE3210S01に変更
  2. 受信側ミクサの出力に巨大スタブを貼り付けて利得の向上
  3. 電源スイッチ用トランジスタを2SB1151に変更
  4. 発振防止のため、2箇所に電波吸収体貼り付け(余り効果なし)

これにより、受信側はトータル利得=21dB、トータルNF=2.6dBとなりました。

上の写真は電源スイッチ用トランジスタを交換した様子です。2SB1151はコレクタ飽和電圧が2A流した時でも0.14Vと小さいのが特徴で、放熱板なしでも全く心配はいりません。ただ、トランジスタを変更しただけでは、ベース電流が十分流れませんので、ベース抵抗を1.6kΩから620Ω/1Wに変更しました。

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