2004年移動運用(2004/8/10)

No. 年月日 移動先 周波数 モード リグ・アンテナ 局数 備考
1 2004/8/6-8 埼玉県飯能市 3.5-5600MHz CW/FM/SSB IC-736、FT-736M、IC-T81SS、UTV-2400BIIP、UTV-5600BII
IV (3.5-7MHz)、RDP (14-28MHz)、4ele HB9CV (50MHz)、GP (144-1200MHz)、15ele Loop (2400MHz)、Transducer (5600MHz)
約700局 フィールドデーコンテスト
2 2004/9/4-6 埼玉県さいたま市 3.8MHz SSB IC-736、短縮GP(3.8MHz) 11局 AA PHONE

2004年ALL ASIAN DX コンテストPHONE(2004/9/6)

昨年は、自宅からインターフェアにびくびくした時間を過ごしたので、今回は移動して発散させようと前もって計画しました。

過去の何年分かの結果を参考にすると、80mバンド、すなわち3.8MHzバンドの競争が激しくなさそうに思えました。釣竿アンテナが戦闘能力を持っているのは、ローバンドの方が魅力的に感じました。JH1GNU(小林さん)の「釣竿アンテナ製作ノート」を参考にしながら、手持ちの機材でできるアンテナを探しました。最も無難なのが、やはりλ/2のGPだと思いました。ただし、フルサイズはちょっと無理なので、竹光化した釣竿と鯉のぼりポール+アルミパイプ(2m)で15m確保することにしました。短縮コイルを給電点近くに入れるボトムローディングタイプとしました。垂直エレメントとしてアルミポールを使いたかったので、タイヤベースとアルミポールの間にプラスチックのまな板をはさみこむ方法を開発しました。自宅前の試運転も大成功、このアンテナに大分自信を持つことが出来ました。しかし、これが後で問題を引き起こすことは、気がつきませんでした。

2004/9/4コンテストは既に始まっていますが、80mバンドが開き始めるのは夕方なので、10:00に自宅を出発してまずは友人宅に今回は使う予定がないのですが、アルミポールを借りに行きました。1時間ほどで、いよいよ目的地に向けて出発です。

途中で最初の試練が待ち受けていました。ガソリンスタンドでガソリンを入れて出発しようとした時でした。からからという音がするばかりでエンジンがかかりません。スタンドの従業員はバッテリーが怪しいと言います。心当たりがありました。先日、エンジンが全くかからないときに見たバッテリー液は加減線をはるかに下回っていたので、通常よりも多く補充液を入れなければなりませんでした。そのときは、それで復旧しましたが、バッテリーが弱っていて充分に充電できなくなっている可能性は否定できません。幸いなことに、このようなトラブルが交差点の真ん中でなく、ガソリンスタンドで起きたことでした。ちょうど在庫もあるということで、新品のバッテリーを購入して交換してもらいました。専門店なら、もう少し安いのではと言う言葉は呑みこんで、クレジットカードで支払いを済ませました。いつ止まるか分からない車で、専門店を探し回る状況ではありませんでした。

埼玉県さいたま市の荒川の河原近くに着いたのは14:00になろうとしていました。現地には私の移動の師匠であるJK1GKG(井上さん)が2ndと一緒に待っていてくれました。今回もアンテナや移動地について、色々アドバイスをくれました。時々小雨降る中ほぼ思うとおりのアンテナを立てることが出来ました。現地はスペースも合ってフラットな場所なので、今回のようなGPには最適です。

コイルは、まな板に取り付けて固定しました。ラジアルは、地上高3m辺りに持ち上げた2本としました。垂直エレメントが15mしかないためにVSWR < 1.5となる周波数は60kHzしかありませんでしたので、3.8MHz帯専用となり、3.5MHzで使用する為には、短縮コイルのタップ切替が必要なことが分かりました。

初期の形

アンテナシステム遠景(ラジアル用の釣竿が左右に見える)

2004年フィールドデーコンテスト(2004/8/10)

今年のフィールドデーコンテストは、昨年の全市全郡コンテストに引き続き奥武蔵グリーンラインの
埼玉県飯能市・飯盛峠に移動しました。全市全郡で入賞したことに気を良くして、バンドの拡張とアンテナ配置の工夫を行って、昨年のフィールドデーコンテスト以上のものを狙おうというものです。

ところが、今回はトラブルの連続です。

8月6日(金)早めに仕事を終わらせて、自宅を出たのが16時30分でした。大渋滞にはまってなかなか進みません。そして、途中2箇所でアルミポールやらアンテナなどを借り受けて、所沢界隈を走っている時に最初のトラブル発生です。ぼんやりと考え事をしながらはたと気がつきました。「発々用の2サイクルオイルと混合用ポリタンク一式」を積み忘れています。2サイクルオイルがないと発々が焼きついてしまうことでしょう。時刻は既に20時45分、店も閉まっているに違いありません。仕方なく家まで戻ることにしました。22時15分家に置き忘れたオイルを持って再出発です。

現地に到着したのは翌日の1時10分になっていました。荷物を積みなおして何とか寝る場所を確保して2時前に就寝しました。

翌日は目覚ましが鳴る前の5時30分に起きてしまいました。既に空は明るくなっており、寝なおすことも出来そうにありません。睡眠不足の感じはありましたが、手早く朝ご飯を食べて設置にかかります。

車の停車位置は前回とほぼ同じにしました。問題は電線に近づくRDPをどうするかということです。ローバンドとの干渉も気になります。今回は、RDPを5mのFSP505Dに取り付けて車よりも少し尾根を上がったところにある木立に立てかけて設置することにしました。長めのケーブルを用意してあったので、楽に車まで届きます。他にアンテナを付けていないので、VSWRも良い感じです。今回は、SWRアナライザのMFJ-259Bを購入して初めての実践投入となりましたが、アンテナの状態を簡単にチェックできるのでやっぱり便利です。

メインポールはタイヤベースに取り付けた10mのFAP612Eです。トップにGP(144-1200MHz)と4ele HB9CV(50MHz)を取り付けて、2m下がったところにINV-VEE(3.5-7MHz)の給電点を取り付けました。これだけのアンテナを付けてのフルアップは初めてでしたが、途中で重くなってきたなと思うたびに垂直を調整してあげると、その先はするすると伸ばすことが出来ました。

伸ばしきる直前にちょっぴり問題が発生しました。GPに付けてあるケーブルの長さが間違いなく足りません。今までも使っているケーブルなのに、何故と思いました。しかし、従来は5mや6mのポールの先端から降ろしていたのが、今回は10mに延長された為に足りなくなってしまったわけです。SHFのトランスバータ用にと思っていたケーブルを繋ぎ足して何とか事なきを得ました。

ここで、ちょっぴりアンテナ上げのテクニックを紹介します。(初心者向けなので、ベテランの方はスキップしてください。)
一つは、アンテナを上げている時に、下のパイプがついてこないようにする「ガムテープ」です。アンテナが傾いていたりすると、持ち上げていないパイプも持ち上げているパイプについて上がってきてしまいます。こうなると、ボルトを入れることが出来ないので、途中まで上げていても戻すしかありません。そこで、下のパイプが上がってこないようにガムテープで止めておくと良いという訳です。
もう一つは、所定の位置まで持ち上げた時に素早く確保する為のマイナスドライバーです。パイプを持ち上げている時は穴位置を細かく合わせることが、難しい状態です。こんなときに先ずマイナスドライバーで高さを確保すると、その後の作業が楽になります。多少横にも縦にもずれていても、ドライバーの先端でこじって差し込むことも可能です。2本のうちの片方のボルトをきちんと取り付けたら、外してボルトを締めます。

 

HFからUHFまでのアンテナが上がりましたので、残りはSHFです。今回は2400MHzから10.1GHzまで持ってきていたのですが、天候が次第に悪化しつつあり遠くで雷の音が聞こえたり、風が涼しくなってきていたので10.1GHzのトランスバータの設置はとりあえず先送りすることにします。(GPで不足した分を延長する為に丁度良い長さのケーブルを使ってしまったと言うこともありますが)

脚立に立って届く最も高い位置に2400MHzのアンテナをつけようとしましたが、こちらもパイプの径が太すぎてUボルトがはまらないトラブルにあいます。予備のHB9CVのブームを取り付けてそこに2400MHzのループアンテナを抱きつかせるような形で何とか固定できました。

5600MHzのアンテナはトランスデューサを準備してきました。本格的なパラボラアンテナでも良かったのですが、余り期待していないこともあり、できるだけ簡単に済まそうと言うことを考えました。トランスデューサはアンテナではないので、放射効率がどの程度になるかさっぱり分かりませんが、アンテナとして使えれば良いくらいに割り切ることになりました。

これらのSHFのアンテナの様子を示します。トランスバータは二重のビニール袋に包んだ状態でポールに縛り付けています。

 

発々は、今回も雨を警戒して傘をさしていただきました。タイヤベースを利用した豪華な傘立てです。重量も十分あるので、少々の風では動かないでしょうが、強い風が吹いたら傘自体が壊れる心配がありました。今回は相当な豪雨に見回れましたが、最後までエンジンが止まることなく雨よけの役目を果たしていただきました。

全ての設置が終わったのが12時過ぎで、各バンドのVSWRも充分実用範囲で全く問題ありません。室内のセッティングもいつものように出来ました。

ここで、次の大きなトラブルが発覚しました。来る途中で入れてくるはずのガソリンを入れ忘れています。20リットルのガソリンの携行缶にはあと4リットルほどしか残っていないことが分かりました。正確に燃費を測定したことがなかったのですが、2リットルで5時間ほどしか持たないはずです。ということは、発々のタンクに残っている分を考えても15時間ほどでガス欠になる運命です。またも、大トラブルにぶち当たってしまいました。アンテナをフルアップしている状態なので、車を動かすことが出来ません。また、車のタンクからガソリンを移す道具も持っていません。普段モービルをしていないので、車から電源を取るようにしていませんし、リグがAC専用のIC-736なので、DCでは動きません。

唯一カーバッテリーで使えるIC-T81SSを使って、ガス欠となった残り時間を430MHzや1200MHzでこなすと言う選択肢もなかったわけではありませんが、私は友人を無線で呼び出してガソリンを持ってきてもらうというのを選択しました。友人はすぐに無線で繋がって状況を説明すると、ありがたいことに持ってきてくれることになりました。そして実際、片道3時間かけてガソリン10リットル持ってきてくれました。なんとありがたいことでしょうか。こんなに親切にしてくれて、お礼のしようもありません。お金やお土産は受け取ってくれそうにないので、次に何かあった時に出来る限りのお手伝いをすることにしました。

これで、二つ目のトラブルは解決しました。

友人を待っている昼過ぎから17時まで、この界隈は大気が不安定になって、ついに雷を伴った豪雨となりました。雨音がまるでハンマーで車のルーフを叩いているように聞こえましたので、雨粒の大きさは並大抵のものではなかったと思います。雷もごく近くまで接近しているようで、稲光から音が聞こえるまでの間隔が全くないところまで来てしまいましたので、ひたすら目をつぶって嵐が過ぎ去るのを待つしかありませんでした。幸い、アンテナに落雷したり、発々が浸水してエンジンが止まると言うこともありませんでした。ただ、この嵐のおかげでコンテスト前の昼寝が出来なかったことが悔やまれます。友人は、雨が小ぶりになった頃上がってきたのですが、途中でもすごい状況であったと語ってくれました。

全ての準備が完了した状態でのアンテナ全景です。

今回の移動運用の最後のトラブルは蟻の大群でした。

車の中の匂いにつられたらしく、蟻が同軸ケーブルを伝って車に侵入していることに気がついたのは、日曜日の午前中のことでした。何匹かの蟻がケーブルの辺りをうろうろしているのを見かけるようになりました。蟻が何を目指しているのか分かりませんが、助手席や運転席の背もたれの上を行ったり来たりしています。そのうち段々数が増してきて見えているだけで、100匹近くいるのを確認できるようになりました。もちろん、とっくにカップめんの容器などの入っているゴミ袋は外に出してあったのですが、その数が減ることはありませんでした。でも、コンテスト中なので、何ら効果的な手を打つことは出来ませんでした。蟻が出たり入ったりするのをただ見ているだけです。

コンテストが終わって撤収する時になって、初めて蟻が侵入するために利用した同軸ケーブルを外しました。これで、これ以上入って来れませんが、勝手に出て行っていただくということもなくなったわけです。目に付くところでうろうろしている何匹かは排除しましたが、そのまま荷物を積み込んで自宅に帰りました。

帰ってすぐに荷降ろしをしましたが、目だって多くの蟻はいませんでした。しかし、そのまま部屋に荷物を入れることは出来ずに、玄関に放置しました。翌日、荷物に付いていたと思われる蟻が玄関辺りをうろうろしていると、クレームがつきましたが、その数は僅かでした。

さて、車の方はどうでしょうか。密室に閉じ込められている蟻たちは減っているはずはありません。昨日見た100匹ほどは確実にいても良いと考えるべきでしょう。ドアを開け放してしばらく放置して、自主的な退去を願いましたが、そのような兆候はありませんでした。「バルサン」などで始末する案もありましたが、車用のバルサンがあるとも思えず、散布後に車に匂いや薬品がつくのが嫌だったので断念しました。そこで、家庭用の掃除機を持ち込んで吸い込む方法を実施することにしました。これだと薬品を使いませんし、見つけたものは確実に吸い取ることができるというわけです。最初は、ドアのところをうろうろしている蟻を吸い込みました。充分な吸引力のおかげで難なく捕らえることが出来ます。マットも持ち上げて丹念に探します。普段余り掃除好きではないので、半ば室内掃除になってしまいました。そして、後席のマットを何気なく持ち上げると、そこには20cmほどの黒いしみのような状態となっていました。何と、蟻の巣がマットの下に形成されていたのです。その数・・・・・よく分かりませんが、500匹を超えているのではないでしょうか。もちろん、掃除機によって一気に吸引して、一網打尽です。他の場所には、もう殆ど残っていませんでした。室内がきれいになって、蟻もいなくなりました。掃除のフィルタはすぐに取り出して、ビニール袋で何重にも縛って屋外に放置しました。

今回の移動は、色々なことがありました。やはり準備不足と日頃の行いが悪いと言うことなのでしょうか。改めて、自分の運を考えさせられてしまいました。

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