マイクロウェーブの時代(2001年から)

マイクロウェーブの定義は普通3GHzであると言えるが、アマチュアバンドでは1200MHzバンドまでとそれ以上とでは、その運用も取り扱い方も大きく違うと言えるので、ここでは2400MHzバンドからをマイクロウェーブと定義したいと思う。

1200MHzバンドまではFT-736Mで何も考えずに電波を出すことが出来たが、それ以上の周波数を完成品のリグで出るためには、TM-2400といったFM専用機かIC-970といったとても高価なリグを中古で手に入れて2400MHzバンドに出るのが精一杯である。それ以外のチョイスとしてはマキ電機製のトランスバータのお世話になるしかないと言うのが、現在の選択肢である。トランスバータは私としてはとても気に入っているが、それは私にマイクロウェーブについてのそれなりの知識と技術があるために大きな問題が発生することはまれであるが、一般的なアマチュア無線化のレベルを考えると、これらのトランスバータを使いこなすことはかなりのハードルになっているのではないかと感じられる。

しかし、そのハードルを乗り越えれば、2400MHz以上の各バンドを47GHz帯までカバーするマキ電機の存在は大きいし、私自身も2400MHzバンドから10.1GHzバンドまでマキ電機製のトランスバータや関連機器のお世話になっている。

2001年7月いよいよマイクロウェーブの時代に突入である。周波数の順番に従って、まずは2400MHzバンドから初めて、5.6GHzバンドを経て10.1GHzバンドへと上がっていった。

マイクロウェーブと呼ばれるこれらのバンドは激しい流れに乗って変化し続けている。1980年代にアマチュア無線家の先人たちによって開拓が始まって、1990年代がある意味アマチュア無線の全盛時代であったと思う。アマチュア無線人口も多かったし、フロンティアを開拓する力強いアマチュア無線家も多かった。今、そのような人が少なくなったと断言することは出来ないが、パソコンやインターネットが普及して以前であればアマチュア無線に心を奪われるような素養のあった人たちが、次々とパソコンへと心を奪われていったことを否定できないであろう。かく言う私も普段の生活でパソコンもインターネットも不可欠な存在であり、メールを通じて世界中と簡単に通信することも出来る。その便利さを否定するつもりはないが、アマチュア無線の不確実性の楽しみとコンテストと言う競技の楽しみがこの後もずっと続いて欲しいものである。

2002年の現在では2.4GHz帯はLANやBluetoothによってそのバンドの所有者がデータ通信に占有されようとしているし、5.6GHzバンドも5.8GHz辺りの周波数はETC(高速道路料金自動徴収システム)によって侵食されている。更には、5.2GHz帯の100MHzバンドでは足りないと、やはり無線LANの802.11aも5.6GHz帯を含むバンド拡張を要求している。さて、このあとマイクロウェーブはどのような道を歩んでいくのであろうか。(2002.12.20)

上の写真は、2001年9月のものであるが、マストの上の方をよく見ると、小さなアンテナが上がっているのが見える。これは、マキ電気製2400MHz用15エレループアンテナである。6m and Downコンテストでは2400MHz以上のバンドでマルチが市郡区になり、得点も倍になることから、2400MHz以上のバンドが出られることは高得点を得られるための条件である。
実際、2001年7月の6m and Downコンテストでは、2400MHzのおかげでわずかに入賞は逃したが、FM部門で4位につけている。そして、この僅差のおかげで更なる高周波、すなわちSHF帯への進出を決定付けたのであった。

 

2002年2月、トランスバータを購入し、5.6GHzバンドを何とか出られるようにした最初の状態である。アンテナを取り付けるのに良い金具がなかったので、アンテナを横向きに設置した。ビームの向きは新宿副都心のビル街へ向けた積りであったが、固定ビームではうまくQSOができないと言うことを証明しただけであった。

上の写真は、2002年10月に10GHzバンドもそれなりに出来るようになってからの写真である。2400MHzバンドのアンテナも15エレループから29エレループに置き換わっている。

 

上の写真は2002年10月の全市全郡コンテストに向けてマストのトップに144MHzから1200MHzのトライバンダーGP(X-5000)を上げたときのものである。都心では、これらのバンドには結構な局数がいるため、10エレ以上の八木アンテナでビームが切れすぎるために、今ひとつ呼ばれていないと言うような気がしていたので、GPと八木アンテナを併用することにした。アンテナ切り替えスイッチも用意したものの、接続ケーブルが短く、QSOしながら切り替えるほどの即時対応体制を整えることが出来なかった。仕方ないので、144MHzと430MHzは全てGPでやりきってしまった。結果の方はコンテストのページを見ていただくことにするが、GPに変えたせいか、430MHzの交信局数は過去最高となった。
3.5/7MHzのインバーテッドVの引き込み角度を変更したのが災いしたのか、今回のローバンドははかばかしくなかった。そろそろ竹ざおも多くの亀裂が入ってきているので、変え時である。また、同じような竹ざおを買ってこなくては。

●トップヘビーの改善(2003.2.9)

前から気にはなっていたが、ここのところアンテナを増やすばかりでルーフタワーに60mmのガス管と言う組み合わせでは、かなりのトップヘビーである。昨年の全市全郡コンテストでトップに上げたX-5000(3バンドGP)がそれなりの活躍をしてくれたので、144MHz、430MHz、1200MHzのビームアンテナを思い切って降ろしてしまうことにした。

作業を行った2月8日(土)は風が無い上に3月並の暖かさで、朝から子供たちも出かけてしまうと言う幸運に恵まれ、思いっきりアンテナ工事が出来た。

基本的にアンテナ工事は自分一人で行うので、それなりの準備が必要である。今回は次のような要領で作業を行った。

   1. 安全帯を付けてマストのトップに手が届くところまで登り、体を確保する。
   2. ビームアンテナ3本を水平のブームから外す。
   3. ロープを結んで水平ブームと共に屋根までつり降ろす。
   4. 一度屋根まで降りて、降ろしたアンテナを片付ける。
   5. 6mのHB9CVを組み立てる。ロープを結んでロープの端だけ持ってルーフタワーを登る。
   6. マストのトップまで上がり、ロープを手繰ってHB9CVを持ち上げる。
   7. HB9CVを取り付けて、144MHzのビームに使っていた同軸を接続する。
   8. 1200MHz用直下アンプ(GTR-1200T)を取り外し、ロープを使って屋根までつり降ろす。
   9. 10GHz用のアンテナが不調のため、ホーンアンテナを交換する。
     このとき、セミリジッドケーブルのコネクタ脇に亀裂を入れてしまい、仕事が増える。
   10. ステンレスの防水箱に入っているUTV-10Gを取り出して、ロープで降ろす。
   11. 一度屋根まで降りて、屋根の上を片付ける。
   12. 新しいセミリジッドケーブルを取り付けると共に、UTV-10Gの出力が正常か確認する。
   13. マストの中腹まで上がり、ロープを付けたUTV-10Gを持ち上げる。
   14. UTV-10Gを防水箱の中に設置するが、気が変わって防水箱の位置を約1m持ち上げる。
   15. 430MHzと1200MHzのケーブルは未接続のまま、ケーブルの端末処理を行う。
   16. 屋根まで下りて、片づけをすると共に、作業後の写真を何枚か撮る。

これらの作業は、10時前から始めて3時までかかった。10GHzのトラブルが無ければ、午後1時くらいで終了できたであろう。ただ、殆ど無風で暖かかったせいで、体力は余り消耗しなくて助かった。翌日撮影したアンテナの写真を下に掲載する。

早速、144MHzから1200MHzの各バンドと10GHzのテスト交信を行った。V-UHFは近場であれば特に問題無く交信できた。10GHzは今まで送受共に出来なかったのが、JF1TPR熊野谿さんと52-59で交信できるようになり、とりあえず復旧したことが確認できた。ただ、空Sもなく、受信側に問題を抱えていることを再確認した。また、UTV-10Gを降ろしてきて、受信側の利得とNFを確認する必要がある。

とは言え、トップヘビーが少しは改善され、春一番に向けてのアンテナ改善は一段落した。次はステー交換かなー?

●ステーの補強(その1)(2003/4/13)

前から気にはなっていた仮に張ったステーの本格的な工事を行なった。デベグラスロープ、ワイヤークリップなどを適当な大きさで適当な個数をYahooオークションで入手してあったので、これで工事を行なえばよいと高をくくっていたがいざ作業をはじめてみると、結構問題が出てきた。

まずは、どんな作業を行なうかをしっかりと考えていなかったという事。アンテナがたくさん乗っているので、無闇にステーを緩めてバランスが崩れると、そのまま倒れる恐れもある。従って、今張られているステーはある程度他のステーが張られて効かなくならないと取り除く事が出来ない。また、ステーをかける金具1個にはステーが1本しか通せない事が判明した。追加の金具など考えていなかったのだ。このように準備不足のため、思ったほど作業ははかどらなかった。結局出来たのは、トップから南方向2本を新設し、ルーフタワー中ほどから北側に2本張ったところで、本日の作業を終えることにした。本来なら、同じ高さから4方向にステーを追加すべきであるが、色々考えずに作業した結果がこのようになってしまった。バランスが悪いので、新しく張ったステーには殆どテンションをかけないでおく事にする。

下の写真が、今回の工事後のものであるが、デベグラスロープも金具も同じ材質のものとは思えないくらい色が変わっていますね。デベグラスロープは殆ど延びないので、テンションの調整は設置後しばらくは必要ですが、その後は不要なので良いですが、こんなに錆びたら回せません。錆び止め防止には何か塗るのが良いのでしょうね。

全体の1/3くらいは終ったのですが、次はいつ出来ますでしょうか。ステーのための金具なども次までには仕入れる必要がありそうです。

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