5.6GHzアンテナシステムの実測と改善(1) (2002.12.14)
YAMA-MLへの投稿したのですが、一部説明不足の点もあり、更に写真や詳細の説明文を追記してまとめ直しました。
JE1SCJ/吉田です。(長文にて失礼します)
2002年8月中旬に5.6G帯の通信の改善方法を皆さんに聞いたところ、いくつかのアドバイスをいただきました。まずは実態調査ということで、通過型の電力計を作ったりしていましたが、本日、やっと実測しましたので紹介します。あくまでも、自作測定器の結果なので、誤差も大きいと思われますので、ごくごく参考程度にして下さい。
1階のシャックに設置したトランスバータを送信状態にして、アンテナに至るまでの色々なポイントでシャックから送られてくる電力を測定して、どこでどのくらいのロスがあるか、送信レベルのバランスが取れているかをチェックした結果を下記に示します。
1.セットアップ状態(5760MHz)
アンテナ: 45cm オフセットディッシュ
デュアルモードホーン: マキ電機製 入力 +23.5dBm (223mW)
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3.5mm セミリジットケーブル 80cm: ロス=3dB
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GTR-5602G: 入力 +14.5dBm、出力 +26.5dBm (446mW)、利得=12dB
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5D-SFA 7m: ロス=6dB(計算上はもっと少ない)
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10D-SFA 25m: ロス=6.5dB(実際にはもっとロスが大きい?ちょっと良すぎ)
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UTV-5600BII: 出力 +27dBm(500mW)
途中に接続してある5D-SFA 7mがいかにもロスが大きいです。たまたま手元にあったケーブルを使ったのですが、ローテータで伸びたり縮んだりするところに使われていて、そのために本来のロスよりも大きくなっていることが考えられます。そこで、この5D-SFAを伸び縮みに強い(はずの)10D-2W
8mに交換する事にしました。設置前にロスを測定すると、4.5dBと5D-SFAよりも少ない結果が出ました。実際に交換して電力を測定した結果は次の通りです。
2.中継ケーブル交換後
アンテナ: 45cm オフセットディッシュ
デュアルモードホーン: マキ電機製 入力+25dBm (316mW)
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3.5mm セミリジットケーブル 80cm: ロス=3dB
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GTR-5602G: 入力 +16dBm、出力 +28dBm (630mW)、利得=12dB
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10D-2W 8m: ロス=4.5dB(今回入れ替え)
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10D-SFA 25m: ロス=6.5dB(実際にはもっとロスが大きい?)
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UTV-5600BII: 出力 +27dBm(500mW)
上記のようにシャックでは500mWあった電力もホーンに到達するまでに、300mW程度まで減っています。これでもケーブルを交換したあとですから、ケーブル交換前はアンテナ直下にあるGTR-5602Gが泣いています。
また、手元にある5D-SFA 1mのショートケーブルは、そのロスがケーブルの折り曲げで3dB程度から10dB以上まで変化することが分かりました。交換した5D-SFA
7mを使っているときに、突然交信できなかったことがありましたが、その原因はアンテナを回すことにより、ケーブルロスが極端に大きくなったのが原因であると想像されます。5D-SFAはSHFにも対応する細くて取り扱いが楽なケーブルと言う事で、大変気に入っていたのですが、伸び縮みと言うストレスでロスが変わるのであれば、よほど取り扱いに注意しないと使ってはいけないことが良く分かりました。一方、10D-2Wは誘電体がSHFで大きなロスになるものと考えていましたが、思った以上にロスが多くなくて、5.6GHzでは使えるレベルであるということが分かりました。(全ての状況でOKかどうかは分かりませんが、3ヶ月経った今でも特に問題はありません。)
アンテナとGTR-5602G間のケーブルロスが3dBと大きいのが気になりますが、代替えのケーブルが用意できませんでしたので、次に替えたいと思います。ケーブルに対するストレスがかかりにくいところなので、こここそ5D-SFA等が適しているかもしれません。もちろん、テフロン系のケーブルでローロスのものは世の中に存在していますが、価格が高いので、簡単には買えないです。
さらなる改善には、UTV-5600BIIの出力にアンプを入れるか、GTR-5602Gの利得をアップするために入力側に追加アンプを入れる等の対策が考えられますが、いつ行動に移せるか不明です。
これで、そこそこ出来ると思ったものの束の間、突然受信系が不調となってしまいました。TRVの電源をOFF/ONしてもそれまで勢い良く振れていたSメータが動きません(空S=3位ありました)。実際に7K3OHU
富沢さんにお相手をお願いしたのですが、こちらの信号は伝わるのですが、全く受信できません。利得が少ないとかのレベルではなさそうです。今度は、受信系の修理です。
改善の検討に入ってから1ヶ月以上かかって、またトラブルです。自分の仕事の遅さにがっかりしながら、次のトラブルを抱えてショックが大きいです。
何もせずに何日かが経ちました。何気なく電源をONにすると受信系はほぼ元の状態に戻っています。実際に5GHzのロールコールで呼んでみるとフルスケール同士で交信が成立してしまいました。
さて、不具合の原因は何だったのでしょうか。その後も不具合は再現しないので、未だに原因をつかむことは出来ません。SHF初心者にとっては大変難しいですね。システムの安定化という課題が一番であると言うことが良く分かりました。